当文献は2024年1月10日に子宮頸がんで他界した長年の親しい友人、ビジネスパートナーであった河原麗さんに捧げる。生前、彼女が伝えていたHPVワクチンの普及を引き継ぐために継続して説明、発信している。このプロジェクトは麗さんと今年成人になる私の娘 *に捧げる。大事な人を子宮頸がんで失うことを避けることは可能であることを知って欲しい。 *米国ニューヨーク州 Brooklyn Plaza Medical Centerにて13歳(2017年)と14歳(2018年)の2回のHPVワクチン 接種済み記録 |
HPVワクチン空白9年の日本女性が払った代償:ワクチン推奨再開3年前の2020年に世界から日本女性の最小2000人の死の追加到来が報告されていた
日本女性が2013年6月から2022年4月までの9年間に亘り世界で唯一HPVワクチンアクセスが国の方針により遠ざけられ、取り残された9年間による影響についてレポートを開始している。前回は、この9年間のHPVワクチンアクセスのブランクにおいて、世界からの懸念のみでなく、日本国内の医学専門家らも接種勧奨回復を強く唱え続けていたこと、そして、日本(厚生労働省)が2022年4月に専門家からの意見を基に接種勧奨を再開したあとも文科省がHPVワクチンを否定する指導を医学部らの教育機関に指示し、日本が国として足並みがそろっていなかったことを説明した。
この国の指針が、日本女性の運命を変えたと言えるが、このブランクが、日本女性にとってどれほど打撃があったかの検証がHPVワクチン推奨再開の2年前の2020年4月にオーストラリアの専門家が分析モデルを作成し、日本女性の子宮頸がん罹患と死亡数の打撃についての文献が発表されていた。
<HPVワクチンブランクによる死亡と罹患率の打撃>
オーストラリアの専門家の2020年分析モデルによると、2013年から2020年時点での日本のHPVワクチン推奨停止したことにより、1994年から2007年生まれの女性グループ(平成6年から平成19年生まれの女性)は彼女たちの人生において、推奨停止せずに70%のワクチン普及であった場合と比較して、最少数でも24600件の子宮頸がんケースと5000人の死亡を、追加で生み出すことになると推定していた。この2020年発行のレポートによると、もし、当2020年時点でHPVワクチン推奨が復活され、70%まで戻ったとしたら、上記のデータのうち、最少数でも14800件の子宮頸がんケースと3000人の死亡がここから助けられる、と分析されている。つまり、この2020年の時点で、この差数である、約10000件の罹患と2000人の死亡は、この2020年の時点で、すでに手遅れで、HPVワクチン推奨停止により日本人女性は代償を払っていることになる。
<1994年から2009年生まれの女性<平成6年から21年)への打撃>
結果的に、この2020年HPVワクチン推奨停止危機モデルレポートから2022年復活の約3年間、復活に時間がかかっていることから、状況は日本女性への打撃は悪化したことになる。つまり、上記のモデルから2年延長の、1994年から2009年生まれの女性(平成6年から平成21年生まれの女性)グループは将来的に打撃を受けたことになる。
<この出生年グループに該当する女性にできること>
このモデルは2013年HPVワクチン推奨停止から2022年推奨再開の9年間HPVワクチンブランクによる打撃推定モデルであるが、HPV接触から子宮頸がんとなるには15年かかるといわれており(当シリーズ2参照)長い時間差があることから、打撃から救済する方法が2つある。それは、HPVワクチンのキャッチップ接種と子宮頸がん検診である。
この出生年グループに該当しない場合でも、HPVワクチン接種と子宮頸がん検診は、子宮頸がんから命を守るためには重要であることは言うまでもない。
次の文献では、日本でのHPVワクチン接種と子宮頸がん検診における疑問点について執筆する。
当文献の目的は、麗さんが望んでいた、日本の次世代の女性へ正確な情報を発信しHPVワクチンの普及を助けるためである。
同シリーズバックナンバー(1) 同シリーズバックナンバー(2) 同シリーズバックナンバー(3) 同シリーズバックナンバー(4) 同シリーズバックナンバー(5) 同シリーズバックナンバー(6) 同シリーズバックナンバー(7) 同シリーズバックナンバー(8)