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アフリカと並ぶ子宮頸がん罹患率
大切な友人、河原麗さんに捧げる(4) ()

子宮頸がんとHPVワクチン(4) 

日本の悲惨な子宮頸がん罹患率 アフリカ諸国と並ぶ

当文献は、2024年1月10日に子宮頸がんで他界した長年の親しい友人、ビジネスパートナーであった河原麗さんに捧げる(医師名、居原田麗医師)。彼女が逝去してから3か月が経った。もともと私からは地球の反対側(日本)にいた彼女とはあまり会えなかったため、いまだに、本当にいなくなってしまったという実感がない。彼女が生前、伝えていたHPVワクチンの普及を引き継ぐために、当文献を書いている。このプロジェクトは、麗さんと今年成人になる私の娘 *に捧げる。これ以上、大事な人を失いたくない。

*米国ニューヨーク州 Brooklyn Plaza Medical Centerにて13歳(2017年)と14歳(2018年)の2回のHPVワクチン接種済み記録

当分野における調査することにより、日本社会で正しく認識されていないことや、公に語られていない新たな事実状況が見えてきた。麗さんが、生前、よく私に連絡をしてきて依頼をしてくれたように、私にこの分野を調査させ、伝えたいのではないか、と思う。

<日本の高い子宮頸がん罹患率、年々悪化>

厚生労働省発行の2024年2月改訂となっている小学校6年から高校1年相当の女の子と保護者の方へ*(2024年4月22日現在)の最新パンフレットの資料にある脚注によると、当パンフレットの統計の出典は、国立がん研究センターがん情報サービスの2019年の罹患リスク、2021年の累計死亡リスク、2021年人口動態統計がん死亡データからの引用になっており、数年前の古いデータが使用されている。

今日現在のWHO(世界保健機構)の子宮頸がんインフォメーションセンター**では、2023年分の日本の統計として2023年3月10日に発表されており、厚労省の最新パンフレットの数値と多少の誤差があり、2023年の日本の子宮頸がん状況(罹患、及び、死亡)の統計は悪化している。

日本の厚労省の現在の最新パンフレット(2019年の罹患と2021年の死亡の統計使用)によると、年間に約11,000人が罹患、約2,900人*が死亡とあるが、2023年3月10日発表のWHO(世界保健機構)のがん情報国際機関*の日本の子宮頸がん罹患に関する最新データによると直近の統計は、年間に12,785人が罹患、4213人の死亡が報告されており近年、悪化している。

* 厚生労働省ホームページからの出典   

**子宮頸がんインフォメーションセンターからの出典 子宮頸がんインフォメーションセンターは国際癌リサーチ機関内にありWHO(世界保健機構)の傘下組織

<日本の子宮頸がん罹患率 :先進国中で最悪、アフリカ諸国と並ぶ罹患率の高さ

WHO(世界保健機構)のがん情報国際機関*の最新データ(以下、参照)は全世界のがんの状況を詳しくまとめてあり、このデータを子宮頸がん部門の統計に基づき分析を行った。このデータは10万人に対し何パーセントが子宮頸がん罹患、死亡しているかの比較になっている。

<子宮頸がん罹患率状況の分布:状況別に色が指定*>   

対10万人

 罹患率

 対10万人の患者数

パーセンテージによる該当国例

  薄黄色 

 4.9%以下

 4900人以下

 G7国  (日本15.2%・英国9.9%を除く)

 濃黄 

<9.81%

 最大で9809人

 英国(9.9%)

オレンジ

<14.71%

 最大で14709人

 

    赤    

19.61

 最大で19609人 

日本(15.2%)、アフリカ53国中16国

   濃赤 

19.61%以上

 19610人以上

アフリカ53国中37国

出典 : WHO(世界保健機構)のがん情報国際機関(2020年推定)

*帯の分布分別は大陸によって指定が変わる。上分布図はアジアにおける帯分布。例えばアフリカ大陸における帯分布水準では日本は薄黄色帯に該当となる。国ごとに比較する場合は数値(パーセンテージ)を見る必要がある。

WHOの報告書は、日本の罹患率は、北南米、アフリカ、アジア、欧州、オセアニアの全世界中でも中間以下の悪い状況で、世界の先進国 とされるG7主要国首脳会議メンバー*国(7 か国と欧州連合)中では最悪であることを示している。 世界の先進国で罹患率(パーセンテージ)が2桁の国は日本以外にはなく、突出して悪い状況にある。日本はアフリカの多くの国と並び、悪状況の赤地帯に該当する。

アジア圏内で見ると、WHOに報告されている46か国中、日本の罹患率はフィリピンと同位の11番目に高い(悪い)状況で15.2%である。中国の罹患率は10.7%。韓国は8.1%、シンガポールは6.9%と日本より約半数以下の罹患率である。        

*主要国首脳会議G7はカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国で構成される

<WHOによる子宮頸がん罹患傾向の記述は日本に関しては矛盾がある>

日本の罹患率は世界水準でも悲惨な状況であるが、WHO(世界保健機構)は子宮頸がんについて発生国の傾向を以下のようにまとめている。

“子宮頸がんの罹患率と死亡率が最も高い国は低所得国と中所得国である。 これは、それらの国が、 HPV ワクチン接種、子宮頸がん検診、治療状況にアクセスできないこと、つまり、(先進国と比較して)社会的、経済的な不平等状況が反映されている”*

日本は、主要国首脳会議、G7のメンバーでもある世界の先進国である。日本のみ、この命題に当てはまらず、矛盾があることがわかる。

また、このWHOの子宮頸がんに関するデータを分析すると、もうひとつの別の矛盾が見えてくる。それは次の文献で説明する。

*出典:WHO(世界保健機構)

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