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PET (ペット検査) ()

Positron Emission Tomography

「癌」は、世界的に最も主要な死因のひとつです。
PET(ペット検査)は、他の技術ではなかなか見つけにくかった 「転移した癌」 までも探し出します。
PET(ペット検査)は、癌や心臓疾患、そして脳の疾患の診断を助け、医師たちを最適な治療方法に導いてくれるのです。

PET (ペット検査) とは

PETとは、Positron Emission Tomographyの略で、人の身体の生物学上の機能を、分子画像で表現し、健康と疾患の謎を紐 (ひも) 解くカメラです。ポジトロン (陽電子) を放出する化合物を患者に投与し、発射される信号をPETのスキャナーが記録します。そして、コンピューターが集めた信号を実際の画像になるように再び組み立てるのです。

PETスキャナーは 1973年に初めて誕生しました。20年以上経った現在、PETを使用して世界中の医学科学者たちによって「脳」、「心臓」、「がん」に関する画期的な発見がなされています。PETは、重複した検査や診断のための外科手術を伴う検査を省き、ほとんどのがん、心臓疾患、アルツハイマーなどの神経科疾患の源を、的確に指摘することが出来ます。

新しく結合された技術:PET/CT

新しい技術として、PETとCTが合体したスキャナーシステムもあります。CTスキャナーによって出来る解剖組織画像が、PETからの分子画像と合体し、例えば、CTによって確認された腫瘍は、PETによって悪性なのか良性なのか、わかります。医師は、この融合した画像から、より的確で有効な治療を患者に提供することが出来ます。

PET (ペット検査) で 「癌」 の何が分かりますか?

PET (ペット検査) は、

  1. どこに腫瘍があるか?
  2. その腫瘍は良性か悪性か?
  3. 今受けている治療は効いているのか?
(また、どの治療が有効か)
  4. がんは転移しているか?(一回の検査で身体の全ての臓器を網羅し、癌がどこに転移しているか)

を示します。

 ケース 1) 肺癌

56歳の男性です。身体検査のレントゲン検査の結果、胸に影があるとわかりました。医師は、これだけでは良性なのか悪性なのかわからないと言います。

PETが利用可能でなかった以前では、良性なのか悪性なのかを調べるために、針を使用した生体検査を行なうか、肺の一部を採取する必要がありました。その結果、悪性だとされた場合は、CTスキャン、そして更なる手術が必要とされました。PETが利用可能となった現在、
その腫瘍が、

  1. 良性なのか、悪性なのか?
  2. 明確にどこにあるか?
  3. 転移しているか?

が診断可能です。

ペット検査、図1
Pieterman et al., N. Engl. J. Med 2000

ケース 2) 結腸癌

72歳の母は直腸癌を患ったことがあるのですが、最近、血清CEA(腫瘍マーカーのひとつ)の数値が上昇を示しています。医師がCTスキャンを実施しましたが、異常なしとの結果が出ました。再発しているのではないかと心配です。

PETが利用可能でなかった以前では、CTスキャンが癌を示すに十分なほどに癌が進行して大きくなるまでCTスキャンを繰り返し試みるか、血清CEAの数値の上昇の源を捜すための検査用開腹術が行なわれていました。PETが利用可能となった現在、より正確であるPETによる検査がCTスキャンの代わりに実施されています。PETは病気の再発を示すと共に、どのような手術、放射線療法、治療が適切であるかも明らかにします。

ペット検査、図2
Huebner et al .,JNM 2000

ケース 3) 乳癌

36歳の妻は乳癌と診断されました。一年前に乳腺腫瘍除去手術を受けましたが、最近、また不調を訴えています。PETによる検査を選択することによって、検査上、どんな利点があるのでしょうか?

PETが利用可能でなかった以前では、医師はCTスキャン、乳房X線等、骨スキャンを行なっていましたが、初期の再発を示すことは難しいとされていました。しかし一回のPET検査をもって、全身を検査でき、再発も明示することを可能としています。また、PETは乳腺のしこりが良性か悪性であるかも確認できます。乳房X線撮影の結果が疑わしい場合、そのうちの 70%の患者は最終検査として行なわれる乳腺の生体検査をPETに代替することにより、費用の削減、また、生検による体に残る傷の可能性を除去することもできます。

ペット検査、図3
Clinical Position Imaging Journal, the Official Journal of the Academy of Molecular Imaging, Vol 3 #5, Sep-Oct 2000

ケース 4) 前立腺癌

72歳になる父は前立腺癌を患っています。4年前、前立腺切除術を受けましたが、最近、PSAの数値が上がってきています。

PETが利用可能でなかった以前では、医師は骨スキャン、単クローン性抗体スキャンを行なっていましたが転移の証拠を確実に示すことは難しいとされていました。癌が再発している場合、PET検査においては、ポジトロン (陽電子) を放出する化合物が機能してリンパ腺の移転場所を的確に示します。また、一回のPET検査によって、骨や肺などの他の場所への癌移転も同時に示します。

ケース 5) 心臓疾患

a) 冠状動脈疾患があるかどうか調べたのですが?
PETは、冠状動脈疾患があるか否かを検査する最も適切な方法とされています。PETは、他の心臓用検査が発見不可能な心臓への不十分な血液の流れを示すことが可能です。
b) 心不全の兆候があります。将来的に心臓移植を考えるべきでしょうか、または、バイパス手術が適切でしょうか?
“血液の流れ”と“機能”の2つが決定要素となります。もし、PETが“血液の流れ”と“代謝機能”の両方が、心臓の大部分で認められないことを示した場合、代謝が機能していないことは、組織が死んでいることを意味しますので心臓移植が選択肢と言えます。もし、心臓の大部分で血液の流れがあまり認められない一方、代謝が機能している場合は、心臓移植は必要ありません。このケースは、バイパス手術によって、心臓機能が改善されます。

ケース 6) 脳の疾患

a) もし筋肉中に振動を覚えたら、パーキンソン病の恐れがあると思うべきでしょうか?
PETによる脳の画像は、パーキンソン病をもっているかどうかを示します。F-DOPAと呼ばれる標識アミノ酸が、脳に欠陥があるかどうかを調べるために使用されます。

b) アルツハイマー病の発病の恐れがある、と医師に告げられました。PETによってどんなことがわかるのでしょうか?
PETは、アルツハイマー病に関して一貫した検査結果パターンを示します。アルツハイマー病の場合、脳のある決まった場所の機能が低下するからです。アルツハイマー病であると医師が診断できる数年前から、PETは、既にこの検査結果パターンを示します。

c) 癲癇 (てんかん) を起こしたにもかかわらず、治療が効きません。PETによってどんなことがわかるのでしょうか?
PETは、癲癇 (てんかん) を誘発する組織を正確に指摘することが可能です。現在、その組織を取り除く手術により癲癇をもつ子供のうち 80%のケースは治癒可能です。