<昼夜、ミサイルの警報で防空壕へと促すキーウでの滞在>
4月に緊急の別件で、旅客機が発着していないウクライナに数日かけ、米国からウクライナの首都キーウ(キエフ)に入り、弊社の代理出産ネットワークのパートナーらと会議も行った。首都キーウ(キエフ)の風景自体は、平常と変わらなかったものの、ホテルチェックイン時に、<警報が鳴った場合には防空壕へ移動することを奨励する>という以下のレターを受け取り、同意する署名を求めらる。空上のサイテライトからロシアの動きを観察し、いかなる動きをも察知した場合に警報が鳴るシステムになっており、連日、夜中でも明け方でも警報が鳴るため、滞在客は次第に警報に慣れ、防空壕に都度行かなくなっていたが、キーウ(キエフ)が安全ではない現在は、この警報を真剣に受け止めるようになっているようだ。以前のキーウ(キエフ)の世論は、もともとのロシアの首都であったキーウ(キエフ)市は歴史的な建築物も多く、ロシアもその保存優先のために攻撃は避けるはず、というものであった。現地の弊社のウクライナ人のパートナーらも同様に語っていたが、5月末の米国における情報では、ウクライナはロシアからのドローンはほぼ迎撃できているものの、地上攻撃用に近い標的とするS-300/s-400ミサイルに対しては迎撃する時間が短く、迎撃できていない、と発表していた。7月8日のキエフ市の小児病院へのミサイル攻撃はこの情報と合致する。
<ウクライナの代理出産料金、代理母が値上げ要求>
戒厳令も今日現在でも有効で交通もままならなく、いつミサイル襲撃があるかわからない地で、ビジネスも停滞しているウクライナでの代理出産の料金は下がっているのではないか、と予想していたが、弊社の代理出産グループのパートナーネットワーク、及び、ウクライナの代理出産弁護士によると、代理出産料金は上昇していると言う。クリニックや病院料金、及び、斡旋会社(エージェント)料金は変わっていない反面、代理母に払う報酬が上がっているためだという説明を受けた。ウクライナでのガソリン料金は計算すると、先進国並みに高くなっており、ウクライナ内での物価も全く安くなっていない。しかし、ウクライナの貨幣(グリブナ)価値は2022年7月半ばから以前の半分くらいに落下していることから、ウクライナに住む代理母らにとっては、現地通貨であるグリブナの必要性から、依頼者へのドルやユーロ額面請求が高くなっているのかもしれない。しかし、代理出産依頼を考えたとき、世界には少なからず他の選択肢があるのに、料金が値上げになっている危険な戦場に依頼する理由が全く見えない。
<戦下でも代理出産依頼を進めている邦人がいる>
現在、米国国務省、及び、日本外務省でも、ウクライナには、渡航しないように、そして、退避するように(レベル4)*と発表している危険な状況の中、ウクライナの代理出産契約の中心地であるキーウ(キエフ)市在住の関係者から、ウクライナでの代理出産契約を進めている邦人がいることを確認した。 *日本外務省ホームページ引用
また、キーウ(キエフ)の在ウクライナ日本国大使館は領事窓口業務を現在行っていない。*(2024年7月15日現在)つまり、代理出産からの赤ちゃんの手続きも在ウクライナ日本国大使館では不可能である。
*在ウクライナ日本国大使館ホームページ引用
<キーウ(キエフ)市住民らも7月8日のキーフの大病院攻撃には衝撃>
7月8日の攻撃に関して弊社のキーウ(キエフ)在住のビジネスパートナー(ウクライナ人)に電話連絡をしたところ、当小児病院攻撃はキーウ市(キエフ)において今年最大の攻撃で住人も衝撃を受けている、という。弊社のパートナーによると、ニュースで伝えられているように、38のミサイルが発射され、全ミサイルに対する防御は不可能だった、戦争が激化している、という印象だそうである。
この小児病院は、ウクライナ最大で癌など重篤な疾患も網羅する病院で、ウクライナ代理出産で使われる国の産科病院らから車で15分の場所である。国の産科病院(マタニティ病院)は、病院ごとに第一マタニティ病院というように番号がつけられており複数あるが、Lesi Ukrainky Street付近地区に集中している。現地視察速報(1)で説明したように、2024年7月現在、旅客機が飛んでおらず出入国も簡単ではなく、日本大使館も領事業務を行っておらず、戦争は激化しており、ロシアからの攻撃が避けられるであろうとされていた首都キーウ(キエフ)中心地にもミサイルによる攻撃があり、7月12日にはNATOがウクライナの将来の加盟支持を表明した今、ロシアとの対立が更に高まるとみられる戦国ウクライナに、あえて代理出産を依頼することは現実的ではない。