医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産について説明しています。
世界中の代理出産依頼が難しい状況へと世界全般が変化し、代理出産の依頼の波が、数少ない商業代理出産が合法であったメキシコへ移動したものの、その大移動が問題になり、2015年末に議会により外国人による代理出産依頼禁止が可決されたことを前回=1月9日号掲載=まで説明いたしました。
メキシコ議会での禁止可決後、依頼中の余波も17年には終了し、メキシコも商業代理出産の扉を閉めました。ここまでの流れは、冒頭にまとめたように、赤ちゃん工場と呼ばれたインドの代理出産取り締まりから始まった商業代理出産禁止の波によるもので、世界中の代理出産依頼を一掃するものになってきています。メキシコで唯一、商業代理出産が合法であった1州における世界中からの依頼者の殺到、そして禁止令決定により、結果的に世界中で外国人が商業代理出産が合法に行える場所は、一部の国に限られるようになりました。米国の数州、ロシア、ジョージア(グルジア)、ウクライナ、ギリシャなどです。
米国は、依頼者、代理母の権利義務も明らかに規定される契約が基盤となっており、依頼者の婚姻ステータスにかかわらず、いかなる依頼者でも制限なく正当に代理出産が行えることで安全です。しかし、契約に関わるさまざまな層で、それぞれの弁護士(依頼者、代理母、必要な場合は卵子ドナー)、保険、金融会社などを含む専門家が関わるため、多額となり、依頼者は料金的に手が届く場所を探すのが事実です。メキシコでの禁止が決定された後、多くの依頼者は、主に、廉価で合法であるジョージア(1992年合法化)とウクライナ(2002年合法化)へ移動しました。これらの国は、代理出産が必要であるという医療的な理由が存在すること、と婚姻関係がある異性夫婦による依頼である必要があります。また、この二つの国に遅れて、ロシアも依頼者が目指す目的地に加わりました。世界の依頼者も慎重に場所を選び、依頼を進めるようになったころ、世界中でコロナ渦が勃発し、代理出産依頼への影響が出ると同時に、多くの問題が発生しました。
(次回は3月第1週号掲載)
当文献は創刊47周年を迎えるニューヨークの日本語新聞New York ビズ 2021年2月6日に掲載されました