元気で健康な赤ちゃんを育てるために
第24回日本母乳哺育学会が2009年9月26日、27日と東京ステーションコンファレンスサピアタワーで行われた。日本母乳哺育学会会長合阪幸三先生からの依頼でこの48時間のために日本へ飛び、米国の代表として米国の母乳哺育の状況を報告した。
母乳哺育の重要性、有用性は普遍的な知識・常識として普及しているが、米国でも日本でも母乳が出ない、もしくはあげられないお母さん は多く存在する。米国でも、母乳神話はあり、母乳を擁護する余りに人工乳の導入を非難するグループがいないわけではないが、日本ほど当議論に焦点が置かれ ておらず、母乳をあげられないことにより罪悪感を抱かせるような傾向は日常では見られない。
母乳哺育が最も優れていることは議論する必要がない事実である上で、人工栄養と言う母乳哺育の代替となる有用性のある選択肢の存在は 米国の現代社会において重要な役割を担っている背景について講演を行った。当講演の目的は、各方法の優越を比較検証することではなく、米国において、人工 栄養が、母親は当然ながら、家族の福利、更には社会の繁栄を支えているなくてはならいない選択肢であることを提示した。
以下が米国における母乳哺育の現状についての講演抄録である。
背景:
- 米国の労働力の分布について
- 育児休暇について
- 母乳哺育からの離乳~人工栄養への推移時期分布
人工栄養がもたらす有用性事項:
- 家族の育児へのかかわり
- 母親に時間的柔軟性・時間的、及び、精神的余裕を与える
人工栄養養育の現状と視察:
米国ニューヨークにおいて30年間、新生児から高校生までの小児科の専門家として、 患者を診てきたドクター・ラパポートが人工栄養養育の現状と視察を語る
結論:
米国の現代社会に生きる個人にとって、選択肢が与えられていることは人生をより豊かにし余裕を持たせる。 個々の生活・人生に合せてどの選択肢を選ぶかはパーソナルチョイス(個人の私的な権利)であり、 その個人的・私的な決定は尊重されるべきものである。母親にとって、母乳哺育を選択するか、 人工栄養を使用するか、又、いつ導入するか、は重要な決定事項の一つではあるが、子供の肉体的、 精神的、知的成長は、この決定にすべてを依存するものではなく、家庭環境、社会経済的状況などの 様々な要因が関与している。最も重要なことは“Mother should be happy to have a healthy happy baby” ―――健康で幸せな赤ちゃんとなるように育てるためには、母親が幸せであることが不可欠なのである。 米国では母親の決定を尊重し、母親が子育ては喜びである、と思える環境を整えることに努力している。
2009年9月27日 東京