Assisted Reproductive Technology、ARTとは?
多くの解釈がありますが、高度生殖補助医療 (ART) とは卵子と精子両方を操作して行う不妊治療すべてを指しますが、通常、高度生殖補助医療 (ART) は患者の卵巣から卵子を手術で取り出し、研究所で精子と結合させ、その患者の身体に戻すか、または他の女性に提供することを含みます。精子を操作すること (人工授精・子宮内人工授精など) や、卵子を取り出すことを目的とせずに単に卵子製造を刺激するために不妊薬を服用することは高度生殖補助医療 (ART) には含みません。
高度生殖補助医療 (ART) の種類
- IVF (In Vitro Fertilization)- 体外受精
- GIFT (Gamete Intrafallopian Transfer) - 配偶子卵管内移植 (卵子と精子を一緒に卵管内へ戻すこと)
- ZIFT (Zygote Intrafallopian Transfer) – 接合体卵子管内移植 (卵子を採取し培養液の中で精子を加えた受精する経過の卵子を卵管内へ移植すること)
- TET (Tubal Embryo Transfer) – 卵管受精卵移植 (受精した卵子を卵管内に移植すること)
これに加え、高度生殖補助医療 (ART) とは自分の卵子を使うのか、卵子提供者 (エッグドナー、Donor) を使用するのか、また、新しく採った卵子 (Fresh) を受精させるのか、以前受精させて凍結させてあった受精卵 (Frozen) を使用するのか、などの方法も含まれます。
高度生殖補助医療 (ART) を利用する理由
下の図2は、1997年に高度生殖補助医療 (ART) を利用したカップルの不妊の主な理由を示したものです。一つ以上の理由が見つかる場合もありますが、下の図は主な理由としてひとつの理由のみを考慮に入れ ています。また、診断方法や分類方法は不妊治療クリニックによって違います。
- ファロピオ管要因 (Tubal factor) :ファロピオ管がブロック (つまっている) されているか、傷んでいることを指します。このことは、卵子が受精することや受精卵が子宮まで運ばれることを妨げます。
- 男性側の要因 (Male factor) :精子数が少なかったり、精子の機能に問題がある場合を指します。このことは通常の状況下で、卵子に結合し受精する能力に影響がでます。
- 子宮内膜症 (Endometriosis) :子宮内膜は、子宮内の粘膜を指しますが、この子宮内膜と同じような状態の組織が子宮以外に発生することを子宮内膜症と呼びます。この状況は卵子の受精のみでなく、受精卵の着床を妨げます。
- 卵巣の機能障害 (Ovulatory dysfunction) :卵巣が規則的に卵子を作らない、または、加齢に伴い卵子製造能力が衰えることを指します。
- 何が問題か明確でない場合 (Unexplained cause) :女性側にも男性側にも明らかな理由が見つからない場合。
- その他の理由 (Other causes) :免疫に関わる問題、遺伝子異常、癌の化学治療、重度な病気等を含みます。
- 子宮の要因 (Uterine factor) :子宮の不調・病気から妊娠を妨げる場合。
不妊の要因がどの要因であるかによって、高度生殖補助医療 (ART) を利用したとしても成功率 (妊娠し出産する率) が違ってくるのでしょうか?
図3は、高度生殖補助医療 (ART) を利用した患者を不妊要因別に分類した上で、妊娠に成功し、赤ちゃんが生を持って生まれてきた (生児出生) 確率を示すものです。アメリカの高度生殖補助医療 (ART) による妊娠・出産平均率は、24%です。
高度生殖補助医療 (ART) の成功率 (妊娠し、出産する率) は年齢によって違ってくるのでしょうか?
もし、患者自身の卵子を使用する場合、赤ちゃんが生を持って生まれてくる (生児出生) ためには、女性の年齢は最も大切な要因です。図4は、妊娠率と生を持って生まれてくる率 (生児出生率) を表したものです。この図は、1997年に高度生殖補助医療 (ART) を利用した患者からの統計です。20代の女性においては、妊娠率も生を持って生まれてくる率 (生児出生率) も比較的に安定していますが、両方の確率とも30代中ば以降では、鮮明に急下降します。
グリーンの点で結ばれている折れ線グラフは妊娠率を示し、白の点で結ばれている折れ線グラフは妊娠率も生を持って生まれてくる率 (生児出生率) を示しています。その2本の差は、つまり妊娠はしたけれども、生を持って生まれてくる結果に至らなかったことを示します。
高度生殖補助医療 (ART) を利用する患者の年齢分布
図5は、1997年実績の高度生殖補助医療 (ART) を利用した女性の年齢分布です。この集計は採取したばかりの (冷凍していない)、自己の卵子、または受精卵を使用した場合の数字です。
この図を見ると高度生殖補助医療 (ART) を利用した女性の70%が、30歳から39歳の方です。22歳より若い女性は高度生殖補助医療 (ART) を利用する場合が少なく、47歳以上の女性は自分の卵子を使うことは少ないため、この図に含まれていません。
chart courtesy:The National Center for Chronic Disease Prevention (CDC)