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最新医療レポート<出生前診断6>
妊娠第1期:ファースト・トリメスターの検査(2) ()

妊娠期の早い時期に先天性疾患群の可能性を知ることができる

米国最先端臨床現場から-最新医療レポート<出生前診断6>前回(3月5日号掲載)から、ファースト・トリメスターの検査について説明を開始しました。
その回では、11週から14週の間にファースト・トリメスターの出生前診断スクリーニングとして、2種の検査である血液検査と超音波検査内容の説明、そして、その結果により21トリソミー症候群(ダウンシンドローム)と18トリソミー症候群(エドワーズシンドローム)のリスクを判定することが可能であることを説明しました。

クリニックによっては鼻の骨があるかどうか、超音波を通して診る場合があります。その理由はいくつかの医療研究がファースト・トリメスターにおいて鼻の骨が認められない場合はダウンシンドロームのリスクが高いと発表されているためですが、これに反対する議論もあり、この検査は普遍的には確立されてはいません。

通常、2種の出生前診断スクリーニングである血液検査と超音波検査結果で、

  • 多少なりともリスクがあると出た場合は、更により明確に判定する出生前診断に進む選択肢を説明され、
  • リスクがないという結果が出た場合は、セカンド・トリメスターで神経管の疾患を検査するクアッドスクリーニングが次の検査であることを説明されます。この神経管の疾患とは二分脊椎(脊椎披裂)などを指します。

もし、多少なりともリスクがあると出た場合でも、お母さんがリスク内容を確定する更なる出生前診断を選択したくない場合は、強制的に実施するものではありません。
また、上記の2種の出生前診断スクリーニングのうちの超音波検査は、NTと呼ばれる胎児項部透過像(nuchal translucency)検査を指しますが、この結果に問題があった場合では、心臓疾患のリスクも含まれることから、心エコー図を妊娠20週付近で行うことを勧められます。NTがリスクを示した場合は、僅かな早産の可能性も示唆していると言われています。このことも心に留めて専門医に管理してもらうことが大切です。

ファースト・トリメスターのスクリーニングの意義は、妊娠期の早い時期にダウンシンドロームやエドワードシンドロームの可能性を知ることができることです。ファースト・トリメスター以降のスクリーニングでもこれらのシンドロームの可能性を知ることはできますが、早い時期に知ることは、お母さんやご家族により準備の時間を与えます。

次回からはダウンシンドロームやエドワードシンドロームについても説明を加えていきます。

ニューヨークビズ 2016年4月2日号:Vol.529掲載
米国最先端臨床現場から 最新医療レポート<出生前診断6>