以前も説明したように、プラユット陸軍総司令官によるこの踏み込み調査は、何百人もの中国人が目指す性別選択の中心地になっていることや商業代理出産を取り締まるためでしたが、筆者にもたらされたインサイダーからの情報によると、この踏み込み調査の時点では、クリニック側は、軍に対し、商業代理母、そして性別選択の着床前診断は今後行わないことを約束して、いったん、鎮圧したそうです。ここで、商業代理母、そして性別選択の着床前診断を行っていた大手クリニックらは当該関連治療サービスの新規ケースを完全停止し、7月末までに、患者、依頼者にこの旨を伝える動きがありました。
しかし、8月に入り、オーストラリアの代理母依頼者がダウン症の赤ちゃんをタイへ置いて帰国する事件のニュース、そして邦人の多数の代理母出産からの赤ちゃんがいることを通報され発覚したとのケースが勃発しました。邦人の連続の代理出産に関連したクリニックであったALL IVFが7月24日の一斉手入れ後、再度、軍の押収手入が入り、明らかに商業代理母サービスを生殖医療クリニックで行なっていた証拠が世界に報道され、違反が指摘され、閉鎖を余儀なくされました。13年のインド閉鎖で新しい地をクライアントのために探していた秋に、さくらライフセイブアソシエイツ代表である筆者が、このALL IVFのオーナーであるピシット医師と電話会議を行いました。その時の会話が、タイ進出を引き留めた理由であったことを思い出されました。
(次回は6月第1週号掲載)
当文献は創刊45周年を迎えるニューヨークの日本語新聞New York ビズ 2020年5月2日に掲載されました
代理出産の歴史(13)軍の鎮圧後に次々と事件発覚、タイの大手クリニックが閉鎖