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<代理出産リポート19>
代理出産の歴史(14)タイ軍、代理出産市場を閉鎖へ ()

2013年のインド代理出産の実質閉鎖後、生殖医療に関する法的規制がなかったタイに代理出産の地が移った直後、タイではクーデターが勃発し、軍(Junta)に支配され、その軍は代理出産の取り締まりに着手、7月24日にバンコクの12の生殖医療クリニックの踏み込み調査を指令した直後に、ダウン症のグラミーちゃん問題と邦人の代理出産が発覚のニュースが世界を駆け巡ったことを前回=5月2日号掲載=お伝えしてきました。

5月22日の政変により軍政権の商業代理母や男女産み分けの取り締まり開始、軍による7月24日の大手生殖医療クリニックへの手入れを行った時点で、クリニック側は商業代理母、そして性別選択の着床前診断は今後行わないことを約束し、クリニックも、それらの広告を取り下げたため、軍としてはある程度、コントロールした、と言う感触を得ていたはずです。

7月24日に12の大手タイ代理母クリニックにJunta(現タイ軍隊政府)による踏み込み捜査が行われた時点で最大手であるAll IVFにも手入れが入り、米国でも当クリニックに代理母を抱える多くの依頼者を含む関係者間で情報を収集する動きがありましたが、実際は、米国時間7月25日朝、All IVFは通常通り機能している、という現地からの報告が代理出産業界に届いていました。この日、依頼者たちはAll IVFのオーナードクターであるピシット医師と、今後の動向について、会議を持ち、この時点ではピシット医師は、「現在進行中の妊娠している代理母契約のケースは継続し、治療も手続きも通常通り行う」と依頼者たちに伝えた、と業界内に報告されています。そして、「7月末に代理母に関する会議が開催されるので、その決定までは、新しい代理母ケースの契約は停止する」と伝えたそうです。

その後、7月31日に行われた国の医療責任者による会議で、プラユット陸軍総司令官率いるJuntaは、アジアの商業代理母の中心地になっていたタイ代理出産市場を閉鎖すると決定しました。軍政府は、「血縁関係による代理母依頼は別として、今後はタイには代理母は存在しない」と発表しました。この決定は、法律制定とは別であり、軍政府の方針の発表ですが実質的な禁止令、と受け取るべきものでした。

(次回は7月第1週号掲載)

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当文献は創刊45周年を迎えるニューヨークの日本語新聞New York ビズ 2020年6月6日に掲載されました

代理出産の歴史(14)軍政府が“禁止令”、タイの代理出産市場を閉鎖