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最新医療レポート<出生前診断27> 妊娠第1期:ファースト・トリメスターの出生前スクリーニングと診断のまとめ ()

前回まで、セルフリーDNA検査の市場の解釈に誤りがあることを説明してきました。これは、日本でも話題になっている新型出生前診断(NIPT)のことですが、この検査は胎児のDNAを調べて結果を出しているものではないため、診断と呼べるものではなく、スクリーニングに過ぎないことを詳しく説明しました。

日本語で“診断”と名付けて呼ばれていること自体、間違いで誤解を招きます。弊社のクライアントは日本の医師や看護師の方々も多いのですが、医療関係者であっても日本でこの事実を理解している方は非常に少ないように思われます。

日本でも米国でもこのセルフリーDNA検査の謳い文句として患者を魅了する記述は、“非侵襲的に診断ができる”というのはずです。が、確かに以前の簡易なスクリーニング(母体血清マーカー検査)よりは精度が良いとしても、“診断”とは言えず、従来の羊水検査や絨毛検査などの診断には代替にならないことを理解したうえで、当スクリーニング検査を行うかどうか決定すべきです。

妊婦としての出生前の検査過程としては、以前からの簡易なスクリーニング検査を行う代わりに、コストはかかりますが、セルフリーDNA検査を行い(日本で言う新型出生前診、NIPT)、染色体異常の可能性の示唆があった場合は、従来の羊水検査や絨毛検査を行うのが理想的でしょう。

現在の多くの臨床現場では、以前からの簡易なスクリーニング検査を行い、染色体異常の可能性の示唆があった場合は、セルフリーDNA検査を行うという順を追う妊婦が多く、正しい理解が必要です。

次回からはセカンドトリメスターの出生前診断のプロセスと各説明を開始します。セカンドトリメスターは13週目から27週の妊娠期を指します。この時期に入ると流産の心配も少なくなって妊娠はかなり安定してきていると言えます。

ニューヨークビズ 2018年1月14日号:Vol.611掲載
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第62回