細心の注意を払い、情報収集することが必須
2016年11月5日号掲載分から、急遽、妊婦が感染することにより出生した赤ちゃんが小頭症を患う関連性が認められているジカウイルス(ジカ熱)について、リポートしています。前回(2月4日号掲載)は、予防について解説しました。今回は、ジカウイルスの現状をお伝えし、ジカウイルスのリポートの締めくくります。
〈発生・アクティブ地域〉
現時点(2017年2月27日)で正式な報告としては、2月2日の世界保健機構(WHO)からの発表で“新地”でのジカウイルスは発生していません。つまり、感染状況が広がり、悪化しているという印象はありません。
現在、発生が報告され、現時点でもジカウイルスの感染がアクティブである地域・国の提示は、非常に多数なので割愛しますが、
- 妊婦
- 妊娠を試みようとしているカップル
は米国疾病予防管理センター(CDC)の最新の状況を把握して移動することをお勧めします。(www.cdc.gov/zika/geo/active-countries.html)
また最近では、メキシコシティからの興味深い情報が目を引きました。メキシコは15年末まで代理出産が可能で弊社のクライアントも50人近くの赤ちゃんを授かりましたが、メキシコシティは標高が非常に高く蚊が近寄れないそうで、従って南アメリカでもメキシコシティは妊婦にとってジカウイルスに関して安全な場所と言えます。
〈ワクチンの確立?〉
ジカウイルスにかからないための予防として、最も期待され、確実であるのは、ワクチンの確立ですが、17年2月現在、CDCによるとジカウイルスに対するワクチンはなく、薬もありません。しかし、米国国立衛生研究所(NIH)の下にある米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)では現在、ワクチン作成に全力を注いでいます。米国では16年秋からジカウイルスの人間における二つのワクチンの臨床試験が行われています。一つは上記のCDCで、もう一つは、Inovio Pharmaceuticals 社によるものです。
ジカウイルスの予防のためのワクチンが現時点で存在しないため、個人ベースで細心の注意を払い、情報収集することが必須であると言えましょう。
早くにワクチンが出来ることを祈り、今回でジカウイルスに関するリポートは終了します。来月から出生前診断のリポートに戻ります。