乳癌と診断されたあなたへ
- -1ステージ (癌の進行度)
ステージ 0
ステージ 1
ステージ 2
ステージ 3
ステージ 4
ステージについて聞くべき質問
- -3. 乳房再建:自家組織使用? または人工乳腺 (インプラント) 使用?
患者自身の組織を使用する場合
人口乳腺 (インプラント) を使用する場合
乳房再建に関する大切な質問
4-1. ステージ (癌の進行度)
癌が発見された場合、どの程度進行しているか、またはどのステージにあるかを知ることが、まず大切です。それを確認するための更なる検査が必要とされる場合もあります。
生検による結果が、癌は非浸潤性であり単に限局された場所にある、と報告される場合があります。これは、癌が乳腺葉、または乳管に発生しているが、脂肪組織には広がっていないことを意味します。
一方、浸潤性癌とは癌が乳腺葉、または乳管に発生していると同時に、脂肪組織にも広がっている状態を意味します。この種の癌はリンパ節、または、身体の他の部分に広がっていることも考えられ、治療はリンパ節の切除を伴います。
以下が乳癌のステージの区分です。
- ステージ 0:非浸潤性癌を示します。癌は発生した限局された場所にあります。最も初期の癌です。
- ステージ 1:直径 0.75インチ (約3.4センチ) より小さい腫瘍で乳房以外に広がっていない段階を指します。
- ステージ 2:直径 0.75インチ (約3.4センチ) より大きい腫瘍、もしくは、腋窩リンパ節にまで広がっている段階を指します。ステージ 2では、リンパ節はお互いにくっついていない状態です。
- ステージ 3:直径2インチ (約9センチ) の腫瘍、もしくは、腋窩リンパ節にまで広がっていてリンパ節同士がくっついている段階を指します。いかなる大きさであっても、もし、乳癌が皮膚、胸壁、または内胸リンパ節に広がっている場合はこのステージに含まれます。
- ステージ 4:癌が身体の他の器官に移転している段階を指します。
どのステージにあるのかにより、患者と医師はどのような手術や治療を行うかを相談し決定します。癌が未だ乳房でとどまっているならば、手術は行われますが、放射線治療を伴う場合と、伴わない場合がありえます。化学治療とホルモン治療は癌細胞が身体の他の器官に広がっている場合に行われます。
ステージ 1 からステージ 3 までは、腋窩リンパ節の除去、及び、生体検査が大切なステップです。リンパ節を除去し、いくつの癌の細胞がそのリンパ節に含まれているのかを検査します。この検査により、癌細胞が身体の他の部分に移転しているか否かを予測することができます。また、化学治療、または、ホルモン治療が必要であるかを決定する要素にもなります。もし、化学治療が必要と判断された場合、いくつのリンパ節が侵されているかにより薬の強さが決定されます。
ステージについて聞くべき質問
検査前に、、、
どのような検査が、癌のステージを知るために行われるのでしょうか?
どのステージにあるのかを知るまでにどのくらいの時間が必要なのでしょうか?
検査後に、、、
私の癌のステージは?
どのような治療が必要なのでしょうか?
どの治療を行うかを可能な治療方法選択肢のなかから決定するにあたって、どのくらいの時間の猶予があるのでしょうか?
4-2. 選択可能な治療方法
乳癌治療には、2つの外科手術の選択があります。乳癌温存療法ではなるべく多くの乳房組織を残すようにします。
腫瘍除去手術では、腫瘍である塊、それを囲んでいる縁部分の問題のない乳房組織、そして、大抵は腋窩リンパ節のみを取り除きます。パーシャルマステクトミーと呼ばれる部分的乳房除去術ではこの腫瘍除去手術より、より多くの乳房組織を取り除きます。
乳房除去術は、乳房全体と、大抵は腋窩リンパ節を取り除きます。
前に説明したように、腋窩リンパ節を取り出すのは癌が乳房から腋窩リンパ節まで広がっているか否かを調べるためです。この結果を基に今後必要な治療においてどんな選択があるかを話し合うことができます。
腋窩リンパ節除去から起こる副作用として、執拗、かつ、時折痛みを伴う腫れ (リンパ浮腫) があります。腋窩リンパ節付近への放射線も、このリンパ浮腫が起こる可能性を上げると言われています。リンパ浮腫の発生の可能性を予防、または軽減する方法もありますので必ず、リンパ浮腫や副作用について医師と話し合うことをお勧めします。
癌の再発を防ぐため、また、除去されきれていない癌細胞を殺すためには、腫瘍除去手術後、放射線治療が必要とされます。この組み合わされた治療方法 (腫瘍除去手術+放射線治療) は、ステージ1 の全ての患者、そして多くのステージ2の患者に対して、乳房除去術同様の効果があります。つまり、最近では、可能な限り、多くの女性が乳房全体を取ってしまう乳房除去術をせずに、乳房温存法を選べるようになってきました。
乳房除去術を行ったにもかかわらず、乳癌が再発してしまうケースがあります。
再発が起こりやすい場所としては:
- 乳房内 (もし乳房温存法を行った場合)
ちょうど乳房除去を行った箇所、つまり胸壁 (もし乳房除去術を行った場合)
乳房から離れた身体の他の箇所 (どの手術を行ったとしても起こり得ます)
腫瘍除去手術においても、乳房除去術においても、術後の再発の可能性は同様と考えられています。
あなたにとって一番の選択を探す
米国癌協会には、患者が助けを必要とするときに、話し合えることのできるボランティアがひかえています。あなたが考えている手術や治療を既に経験した女性ボランティアに連絡を取ることはあなたの決断の助けになります。どの手術・治療を受けるかを決断するときに次の点を考えましょう。
有利な点
- 乳房を保存することができます。しかし、腫瘍が大きかった場合、乳房の形が変化する場合あります。
- 乳房を失う、という精神的な苦痛を避けることができます。
不利な点
- 6週間から7週間の放射線治療を受けなくてはなりません。(多くの女性はもし乳房を温存できるのならば、この6~7週間は価値があるものだ、と語っています)
- 放射線治療によって乳房の手触りが変わることがあります。また、非常に敏感になります。これらの変化は次第に元に戻りますが変化は一年ほど続くと言われています。また、腫瘍除去手術は、全ての人に適しているとは言えません。
腫瘍除去手術は次の人にとっては適していません
- 妊娠している女性。放射線は胎児に影響を与える、という理由からです。
- 片方の乳房内に一箇所以上の癌が認められる場合
- 比較的小さな乳房に、大きな腫瘍が認められる場合
- 乳房、または、胸部に対し、以前、放射線治療を行ったことのある場合
- 放射線治療を行うことに同意できない場合
有利な点
外観的にこの手術のほうが良い場合がありえます。微小石灰化が多く認められる場合、または、比較的小さな乳房に大きな腫瘍がある場合は、乳房除去術が適当な選択です。それらのケースにおいては、腫瘍除去手術では術後の傷がきれいにならないからです。
かなり進行している癌でない限り、または、癌の再発の可能性が高いとされていない限り、乳房除去術後、放射線治療は必要ありません。仕事を持っている女性や私生活でも時間の制約がある女性の場合、6~7週間の放射線治療を考慮に入れる必要がないのは、肉体的・精神的に負担が軽減されます。
不利な点
全乳房が取り除かれます。しかし、人工器官を装着することや、乳房再建術という方法もあります。
乳房を喪失することは女性にとって精神的に簡単に受け入れられることではありません。乳房は女性にとって、性的に、そして自尊心においても大切なものだからです。
手術に関する大切な質問
- どのような種類の手術が選択肢としてあり、どの方法を勧めるか?何故そう思うか?
- リンパ節の除去を行う必要があるのか? どの程度の除去が必要か?
- 私の腕は腫れているか? (リンパ浮腫が、将来的に起こりうるか?)
- リンパ浮腫を予防、または軽減することができるか?
- 手術後、病院にて、どのようなプロセスが行われるか?
- 腫瘍除去手術後、または、乳房除去術後、私の身体の見た目はどのようになるのか?
- それらの例として写真を見せてもらえないだろうか?
- 退院後、どのように手術した部分を消毒等のケアをすればいいのだろうか?
- 手術後、どのような痛みを伴うのだろうか?
- 通常の日常のスケジュールに戻るにはどの程度の時間がかかるのだろうか?
- 手術後、どのようなケア、治療が必要とされるか?
放射線治療は通常、腫瘍除去手術後に適用されます。放射線治療では、機械が高エネルギーのX線を直接、乳房、もしくは脇の下にも送ります。放射線は手術で取り除ききれなかった癌細胞を破壊します。週5日、6週間ほどの期間、この治療が続けられます。
放射線治療は痛みを伴わず数分で終了します。しかし、初回は治療の目標を定めたり、皮膚上にその目標の印をつけたり、器具自体を設置したりする時間も必要なため少々時間がかかります。
多くの患者は放射線治療を受けている期間も通常の生活を続けています。しかし、治療が終了する時期に近づくにつれ、次第に疲れやすくなります。その場合、医師は仕事量を減らし、充分に体を休ませる時間を作ることをアドバイスすることもあります。
放射線治療を行っている部分の皮膚が日焼けしたように見えたり、感じたりする場合もあります。治療が終了すれば、この状態は次第に治ります。大抵、皮膚は、1ヵ月後頃には、普通の皮膚の状態に戻りますが、それより長くかかる患者もいます。治療している箇所の皮膚は、日焼けをしないように注意することが必要です。
放射線治療に関する大切な質問
- 放射線治療とはどのようなことを行うのでしょうか?
- 何週間、放射線治療を受けることになりますか?
- 一回の治療はどのくらいの時間がかかりますか?
- 可能性のある副作用は?
- 治療中、どのような皮膚のケアが必要とされますか? 特別の軟膏や石鹸はあるのでしょうか?
- 脇の下の無駄毛は剃っても良いのでしょうか、また、汗止め等を使用しても良いのでしょうか?
- 放射線治療を受けている間、勤務を続けることができますか?
- 運動や食事等など、何か制限されるべきことはありますか?
- 外出する場合にはどのような種類の日焼け止めを使用すべきでしょうか?
化学療法は抗癌剤を静脈、または口腔より投与する治療です。抗癌剤は、身体の癌細胞が存在する場所まで血流を通りたどり着きます。
最近では、この化学療法において、偉大なる躍進がありました。新しく、更に効果的な抗癌剤の組み合わせがわかってきているのです。また、不快感や吐き気などの副作用も現在では次第に抑制可能になってきており、この不快感を止める薬も出てきています。これらの薬は、化学治療が行われる前に、または行われるのと同時に、または行われた後に服用します。
もし、あなたがいかなる副作用に悩まされている場合は、医師、または看護婦に必ず報告してください。多くの副作用は、現在、予防可能であり、治療可能であり、軽減可能なのです。
化学治療が必要な患者は、内科腫瘍医に照会されます。その場合、その内科腫瘍医が乳癌の化学治療を専門とし、経験を積んでいる医師であるかを確認する必要があります。医師、看護婦に訊ねるべき代表的質問として以下に羅列しますので参考にしてください。
- 何年に内科腫瘍医としてのトレーニングを完了したのですか?
- 乳癌の治療において、何年間、化学治療の経験がありますか?
- 来院する患者のうち、何パーセントが乳癌患者ですか?
- 新治療のうち、どの治療を推奨していますか?
- 過去2年間で、どの医療関係のコンファレンスに参加しましたか?
腫瘍医の返答によって、その医師がどの程度新しい医療に敏感かわかります。更に、より多くの乳癌患者を診ていれば診ているほど、その経験によって、あなたが必要としている治療の選択肢を広げてくれるとみなしてよいでしょう。大学で教鞭を執っている医師は、新しい技術に常に接していると考えられますが、例外もありえます。
化学治療を始める前に、一人以上の内科腫瘍医を訪れるべきです。これにはいくつかの理由があります。
新しい調査が毎日のように発表されている現在、治療方法は目覚しい速さで変化しています。最新の治療を受けることができるべきです。
化学治療は、癌細胞と同時に普通の健康な細胞をも殺してしまいます。健康な細胞を守るために、腫瘍医は、どの程度の量をどのくらいの間隔で患者に投与するかを注意深く調整する必要があります。腫瘍医により、投与する量は異なるため、患者は、どのような効果があるのか、どのような副作用が短期的・長期的にあるのかを各医師から説明を受け、最も自分に合う医師を選ぶべきです。
医師により、腋窩リンパ節に癌が広がってない場合の更年期前の患者への化学治療投与に関する賛否が分かれます。セカンドオピニオンは、あなたにとって最良の方法を探る場合に役立ちます。
化学治療は通常、静脈注射により行われます。また、錠剤と併わせて投与される場合もあります。化学治療は、病院の外来で、または診療所で、または自宅で投与されます。投与される薬によって、数分から1時間以上かかる場合もあります。
親しい友人や家族に化学治療の際には付き添ってもらうのも良いでしょう。また、好きな音楽やリラックスしたテープを持っていくのも良いでしょう。患者により治療方法が違いますが、大抵は、3週間から4週間を一周期とした治療サイクルを4ヶ月から6ヶ月続けます。
乳癌のための化学治療はいくつかの薬を組合わせて投与します。抗癌剤は薬の種類によって、または、組合わせによって、もしくは量によって、様々の副作用を伴います。多く見られる副作用として不快感、吐き気、喉の渇き、脱毛症、血球数の低下などが挙げられます。
脱毛は一時的な副作用ですが、多くの女性にとっては精神的苦痛を伴うものです。米国癌協会 (American Cancer Society)、コスメティックス協会 (Cosmetics, Toiletry, and Fragrance Association Foundation)、国立美容術協会 (National Cosmetology Association)は、化学治療の副作用により起こった外観の問題にどう対応するかを助けるプログラムを共同で作りました。是非、連絡してみてください。ボランティアの美容師を紹介することもできます。彼らは、かつら、髪飾りについてアドバイスをしてくれるでしょう。また、効果的なメイクアップの方法から、素敵なスカーフの巻き方、上手な帽子のかぶり方まで、教えてくれます。
どんな抗癌剤を投与されているのか、その薬がどのように作用するのか、他の選択肢はあるのか、短期的、かつ長期的に考えられる副作用はどんなものか、これら全てのことを必ず知っているべきです。
化学治療を受ける場合には不妊や早発閉経を起こすことがあります。また、理由は明らかではありませんが、化学治療は、閉経を迎えていない女性に最も効果的である、という調査結果が出ているため、閉経を迎えた女性にとっては、化学治療でない他の効果的な方法が適用されることがあります。
化学治療に関する大切な質問
- なぜ化学治療を必要とするのですか?
- どの抗癌剤を使用しますか? なぜですか?
- どのくらいの間隔で治療を受けることになりますか?
- 一回の治療はどのくらいの時間がかかりますか?
- 治療はどのくらいの期間続くのでしょうか?
- 薬はどのように投与されるのでしょうか? (静脈注射、口腔から、または両方)
- どのような副作用が予想されますか? またどのくらい続くでしょうか?
- そのような副作用が発生した場合、どのように対処すれば良いのでしょう?
- 不快感を止める薬を服用するのでしょうか? どのように投与されますか?
- 化学治療を受けている間、仕事はできますか?
- 運動や食事等など、何か制限されるべきことはありますか?
多くの女性が更年期にホルモン治療を行いますが、ホルモン治療は、乳癌を治療するためにも使用できます。乳癌と診断されたときに、通常のホルモン補充薬 (例 : プレマリン) を服用しないように指示されることがあります。これは、個人個人によりホルモン治療が適切かどうかを確認するまでの予防策です。ホルモンのひとつであるエストロゲンは、女性の体の毎月の周期と生殖に密接に関わっています。女性の卵巣は、閉経までエストロゲンを作り続けます。自然閉経は普通、40代から50代にかけて起こります。人工閉経は、手術による両側卵巣摘出、または医原性卵巣機能の消失 (化学療法、放射線療法) により、その機能が停止するために起こります。この種の閉経は永久に月経が停止し、自然閉経と同様の影響が身体に起こります。
エストロゲンが乳癌においてどのような影響を与えるかについては多くの学説が存在しますが多くは、立証されていません。ホルモン療法が効果的か否かを知るために、病理学者は生検によって採られた細胞において、エストロゲン受容体が陽性か陰性かを検査します。エストロゲン受容体は、陽性である、ということは、受容体の表面に乳癌の細胞が存在し、抗エストロゲン療法が役立つことを意味します。エストロゲン受容体が陰性の場合は、抗エストロゲン療法が役立たないことを意味します。
ホルモン療法は単独で行われる場合もありますし、化学治療と伴って、または化学治療の後に行われることもあります。ホルモン治療の副作用としては体重の増加、全身のほてり、気分の上下、などが認められます。
乳癌治療薬、タモキシフェンは現在、ホルモン治療に最も使用されている薬で抗エストロゲン体です。エストロゲンをブロックすることによって、癌細胞の成長を阻止します。
タモキシフェンは、乳癌を予防する初めての薬として普及したことでも知られています。臨床試験にて、タモキシフェンは、乳癌にかかりうるリスクが高いけれども現在はまだ健康である女性に対して、乳癌を予防する、または、乳癌の発生を遅らせる効果があることが証明されています。しかしながら、タモキシフェンは副作用があることも明らかになっています。最近の研究では乳癌のためにタモキシフェンを服用している女性は、子宮癌 (子宮内膜癌) にかかるリスクが高いことがわかっています。このようなリスクがあるとしても、多くの専門家はタモキシフェンの有益な効果はリスクを上回るものであると同意しており、タモキシフェンの使用は続けられています。
ホルモン治療に関する大切な質問
- 私の乳癌エストロゲン受容体は陽性ですか? 陰性ですか?
- タモキシフェンを使用したホルモン治療を行いますか? または、他の薬を使用したホルモン治療を考えていますか? その理由は?
- ホルモン治療を行うとする場合、どのくらいの期間、薬を服用しますか?
- 副作用はありますか?
- 知っているべきリスクはありますか?
4-3. 乳房再建:自家組織使用? または人工乳腺 (インプラント) 使用?
多くの女性は乳房除去術後に乳房の形をした人口器官を使うことに対して抵抗がありません。一方で、乳房再建を望む女性もいます。多くの女性が乳房再建を行ったことによって、人生を取り戻したようだ、と感じているという報告があります。
乳房再建術においては、形成外科医が患者自身の組織を使用して、または、人工乳腺 (インプラント) を使用して、乳房を再建します。乳房再建は、年齢に関係なく、ほとんど全ての女性にとって可能な方法です。乳房除去術と同時に行うことも、数年後に行うこともできます。乳首、乳輪を再建することも可能です。
一人以上の形成外医を訪れてみましょう。そしてそれぞれの種類の乳房再建のリスクと有利な点を解説してもらいましょう。一人以上の医師と相談することによって、選択肢が広がるかもしれません。
乳房除去術と同時に乳房再建を行った場合には、手術から目を覚ましたときに、依然同様に乳房があります。人によっては、まず癌に対処した後、時期を改めて乳房再建を行いたい、という患者もいます。また、医学的理由から、乳房除去術と同時に乳房再建術を行うことができない場合もあります。
患者自身の組織を使用する場合
自家組織使用の乳房再建術では皮膚、脂肪、筋肉を本人の背中 (広背筋)、または、腹部から取ります。
人口乳腺 (インプラント) を使用する場合
人工乳腺 (インプラント) には2種類あります。袋自体はシリコンで作られますが、中身は塩水か、もしくはシリコンで満たされます。塩水の場合、袋が破れたり漏れたりしたとしても身体に吸収されるため有害ではありません。しかし、ゼリー状のシリコンが破裂したり漏れたりした場合には、人間の身体の組織と無関係であるにもかかわらず、身体中に廻ってしまいます。どちらの種類にしても、破裂した場合は、手術で取り出さない限り、シリコンの袋は身体に残ります。
最近では人工乳腺 (インプラント) を行った多くの患者から体調が優れないと報告されています。疲れ、炎症、関節の腫れ、リウマチ性関節炎などの症状が現れているようです。
米国食品医薬品庁 (FDA) は、この状況を調査したうえで、人工乳腺 (インプラント) は現在、政府の規制下でのみ使用可能となっています。1994年12月、米国食品医薬品庁 (FDA) は以下のように規制しています。
- シリコンを使用した人工乳腺 (インプラント) は美容形成のための使用は不可とする。
- 乳房除去術によって片方、または両乳房を失った患者は、塩水を使用した人工乳腺 (インプラント) を使用することができる。
- 乳房除去術によって片方、または両乳房を失った患者は、シリコンを使用した人工乳腺 (インプラント) を使用することができるが、臨床試験に参加しなければならない。
臨床試験で人工乳腺 (インプラント) を受けた患者は、5年間の注意深いフォローアップが必要とされます。これは、人工乳腺 (インプラント) のリスクを心配している患者にとっては、保険のようなものです。また、このような臨床試験に参加することによって、経済的な援助されることを意味します。
また、患者が、人工乳腺 (インプラント) に対して、現実的であることも大切なことです。乳房の形をしたものを得ることができるのであって、新しい本物の乳房が戻ってくるのではない、ということです。また、感触自体も依然同様に感じられる患者もいるなか、多数の患者は再建された乳房は何も感じないようです。
乳房再建に関する大切な質問
- 私のケースではどのような手術を勧めますか? なぜですか?
- その手術の有利な点と不利な点は何ですか?
- 私が受ける手術を受けた患者の写真を見ることはできますか?
- 手術直後、6ヶ月後、1年後のものを参考に見せてください。
- 手術についてあなたの患者の何人かと話すことはできますか?
- 手術の所要時間を教えてください。
- どのくらい入院するのでしょうか?
- 手術後、回復にどの程度の時間がかかりますか?
- 再建された乳房は手術直後、どのような外観になりますか? 感触はどうでしょうか?
- 6ヵ月後、1年後はどうなりますか?
- 再建された乳房は感知能力がありますか? 乳首はどうですか?
- 乳首の再建は乳房の再建と同時に行いますか?
- 手術の予算を教えてください。
- 保険は効きますか?