米国さくらライフセイブアソシエツ 代表取締役社長・清水直子さんに聞く
セカンドオピニオン
米国では、ほとんどの人が当たり前のように求める「セカンドオピニオン」。がんや心臓病など、治療法が日進月歩の分野では、その必要性が高いとされる一方、日本ではさまざまな理由から普及が遅れている。そんな現状を前に、米ニューヨークを拠点に、米国の最新先進海外医療を紹介し、多くの命を救ってきた医療コンサルティング会社、「さくらライフセイブアソシエツ」の清水直子代表取締社長に、日本のセカンドオピニオン事情について話を伺った。
選択肢はできるだけ多く
最良の治療、早めに受けて
日本では三つの難関
日本が抱える問題として、まず清水さんが挙げるのは「セカンドオピニオンという概念自体がまだ浸透していない」こと。ほとんどの人
が病院や医師からの初診の結果を素直に受け入れ、「当院ではもう手の施しようがない」と宣告されて初めて、海外治療などセカンドオピニオンという道を考える。
その裏には、清水さんが二つ目に挙げる日本特有の「医師神話」がある。医師が下す診断は間違っているはずがないと “絶対君主”のようにあがめ、「先生に申し訳ないから」とセカンドオピニオンからの可能性よりも、医師への義理を優先する傾向が強い。米国では医療記録は医師と患者に属し、患者の合意があればどこにでも公開されるべきものという考え方が主流。容態によってはより良い専門家を推薦するなど、セカンドオピニオンを勧める医師も多いが、日本では外部へのセカンドオピニオンに対して嫌悪感を表す意思も少なくない。
そして、三つ目は「タイミング」。多くの人は治療に対する全ての方法論が枯渇して初めてセカンドオピニオンに目を向けるため、当然容態は進行し、どんなに優秀な医師・病院であっても、手を施すことができない場合がある。 そのほか、経済的な問題や患者の容態によって、米国の治療が現実的に難しいこともある。
米国での治療困難でも情報を得て可能性を
たとえ米国での治療が状況的に困難であっても、セカンドオピニオンを通して最良の薬や方法論などの情報を得て、それらを日本で実現できる可能性を探るだけでもセカンドオピニオンとして有益であり、命を救う選択肢となる。「患者さんやその家族には知る権利があるし、命の関わることだからこそ選択するカードが多ければ多い方がいい」と清水さん。早い段階でセカンドオピニオンに目を向け、できる限りの選択肢を持って最良の治療を受けてほしいと訴えた。