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最新医療レポート<着床前診断34>
着床前診断に関するよくある疑問(4) ()

着床前診断における現在一番進化している技術は何か(続編)

米国最先端臨床現場から-最新医療レポート<着床前診断34>

前回(8月1日号掲載)から、着床前診断は新たな技術が続々と出てきているが、現在一番進化している技術は何か、について、着床前診断に関するコラムの締めくくりとして説明を開始しました。

この1年、この傾向を変える新しい着床前診断技術であるNGS(Next Generation Sequencing)、次世代シークエンスの技術が登場しました。

前回にも書いた通り、現在の多くの着床前診断は染色体の異数性を問う技術になっています。これは多くの臨床試験で、受精卵の正倍数性の染色体を確認したあとの移植は着床率が上がる、という結果が得られているからです。

染色体の異数性とは、23の染色体を持っている健康な卵子と23の染色体を持っている健康な精子が受精することにより46の染色体の受精卵となるべきところに、エラーが生じることを言います。

つまり通常、子は父親と母親からそれぞれ23の染色体をもらいますが、母親の年齢の上昇により、母親が持つ卵子の染色体が23より多かったり少なかったりするエラーが起き、その結果、受精卵が正倍数でなくなってしまいます。この受精卵の染色体の数が異常である状態が異数性です。受精卵の異数性の発生は母親の年齢の上昇と比例していることがわかっています。

新しい着床前診断技術であるNGS、次世代シークエンスの技術は、この染色体の異数性のみを検査するものではなく、モザイクをも高い確率で検出することで注目されています。

モザイクとは、遺伝子学的に異なる組織が受精卵内に並置して存在する寄せ集めの状態になるという意味です。モザイクの場合、正常と異常が混在していることが多いと言われています。

それでは、今までの多くの着床前診断が染色体の異数性を問う技術であったことであるのに対し、このモザイクが高い確率でわかることに意義はあるのでしょうか?

Weekly Biz 2015年9月5日号:Vol501掲載
米国最先端臨床現場から 最新医療レポート<着床前診断34>