性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功させるためには(4)
前回のレポートでは、性染色体を含む23対の染色体異常を調べる着床前診断を望む性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功させるた めには、まず、卵胞を良い状態で育てることが基盤となり、生殖能力の基本情報である生理の3日目の検査結果、ベースライン(基本値)をもとに、ベストの方 法論を決定することが重要である、と説明しました。
今回からは、サイクル開始からの重要な点を説明します。
排卵促進剤を投与開始日には、投与開始前に必ず基本検査(血液検査と内診)を繰り返します。体外受精サイクル前の生理の3日目のベースライン(基本値)を もとに一旦決定した排卵促進剤量で問題が無いか、また、スムーズな体外受精サイクルの障害になる子宮内のシストの存在など、予期せぬ問題がないか、そして 卵胞が左右の卵巣に幾つづつあるか、を確認し、血液検査結果を再審査後、その日の夜から排卵促進剤の開始となります。血液検査結果は、生殖医療専門のクリ ニックでは、数時間以内に結果が分かり、ドクターが血液検査結果をリビュー後、その夜からの排卵促進剤の開始を指示します。通常、この日の血液検査は FSH,E2, P4, LHの4科目を検査を行ないます。
前回、各患者の卵胞の本来の質に併せて、各患者のベースラインを基礎に適切な方法論、指示と調整を行なうことが、より良い状態の卵胞に育て、受精する能力 にも影響を及ぼす大切なことである、と説明しましたが、同時にこの緊密なモニターも成功の鍵であるひとつの要素です。このステージを管理するのは生殖内分 泌科専門医であり、当担当医の判断、能力、ケアが、各患者の生殖能力に加えて、成功のためには必要になってきます。
優秀な生殖内分泌科専門医とは産科医同様、まず第一に、いつでも連絡が可能な医師です。赤ちゃんがいつ産まれてくるかは帝王切開で予定する以外は分からな いように、生殖医療は各患者の反応により卵胞の育ち方も違う上に、採卵の時期は最適な時期があるため、7日間クリニックは患者のために開いている必要があ り、優秀なクリニック(生殖内分泌科専門医)は緊急時にも連絡できる体制になっています。第二に、日進月歩を続けている比較的新しい医療分野である生殖医 療において、調査、研究、当医療界での臨床リビューを怠らず勉強し、より正確でより進歩した治療を体得している医師を選ぶ必要があります。この2つは、毎 年政府(CDC:米疾病管理予防センター)に提出する患者数、妊娠成功率に表れています。
Weekly Biz 2013年9月7日号:Vol.406掲載