最新の性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断方法(3)
前回のリポートでは、着床前診断、PGDのエラー率(誤り)とは何か、また、数年以上前に生殖医療業界を制覇していたFISH法の20%以上の高い総合エラー率が報告されていることについて説明しました。
FISH法に替わって現在、最も普及している技術が、aCGH(アレイCGH法)で、多くの高度検査場・専門研究所(ラボラトリー)がこの方法を採用しています。
aCGH(アレイCGH法)でも、結果が出ない率(結果が判明しない不明とされる率)が2.9%、エラー率(誤り)が1.9%報告されています。それでも、以前に普及していたFISHの誤差(計20%以上)と比較するとこの1.9%は誤差内である、とされていますがaCGH(アレイCGH法)を利用した着床前診断によるFalse negative(問題があるのに過って問題がない、と通過すること)の症例として、異常があるにも関わらず正常と判断された受精卵を移植し、その後、流産し、その流産した胎児に対して生体検査に行なった結果、染色体異常が認められた、という報告があがってきています。
つまりaCGH(アレイCGH法)でも、約5%の確率で正確な情報が得られません。正常で妊娠に値する受精卵が破棄される可能性、異常な受精卵が移植される可能性が5%の確率があることは微々たるものとは言えず、より精密で有効な着床前診断の検査法を使うことがどれだけ大切か、理解できると思います。
現時点で最も普及 されいるaCGH(アレイCGH法)は、つい最近まで、最も精密度が高いとされてきていました。この常識を打ち破ったのが2013年の春にアメリカ生殖医学会(ASRM)の文献雑誌に発表された限りなくエラー(誤り)がない米国の医療業界初の新型着床前診断、qPCR法です。
では、技術的観点から、どうして、誤差がaCGH(アレイCGH法)とqPCR法では違うのでしょうか。次回は、最も現在普及しているaCGH(アレイCGH法)ではなぜエラーが起きるか、技術的な問題点から説明し、新型着床前診断qPCR法との比較を行ないます。
Weekly Biz 2014年2月1日号:Vol.425掲載