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海外での違法医療をどう読むか:韓国違法卵子提供など外国人処罰(4) ()

現在、外国人が世界で違法行為を行った場合の対応

違法である韓国での卵子提供、着床前診断、そして、韓国では認められていない代理出産依頼などの治療が日本で勧誘されているということが話題になっており、前回、当シリーズの(3)で、韓国の法律を提示、解説してきました。では、実際、日本人が海外で違法行為を行った場合、つまり、外国人が自国ではなく、海外で違法行為を行なった場合、どのような措置や処罰が取られるかを、過去の事例と現在の世界状況を踏まえて、説明します。

筆者が医療文献・レポートを連載している米国配布紙を手にされない読者の方に向けて、警告レポート(1)(2)(3)に続き、情報を発信していきます。

世界がインターネットで繋がり国境がなくなってきているうえに、パンデミック時代を介し、インターネットによる社会形成がより強くなっている現在、外国人を標的にする、もしくは、無責任に違法のサービスを勧誘する広告がインターネットに多く見られ、被害の報告が多く報道されています。海外での治療が身近な選択肢となることは患者にとって有益ですが、その状況を利用して、無責任に違法サービスを勧誘するホームページに関しては、意図的である場合と、意図的でなく提供側が無知である場合が見られます。最終的には、依頼者であるご自身の人生に重大な影響がありますので、“知らなかった”“なんとかなるだろう”という考えは考え直してみてください。実際、現在、弊社では、いくつかのレスキュー(救出)ケースを依頼され、全力でお手伝いしています。

2023年春、現在、アメリカでは、アメリカ大手新聞、ウィールストリートジャーナル紙記者、31歳のアメリカ生まれのゲルシュコビッチ氏(両親はロシアから逃れアメリカに移住)、がロシアでの取材中、スパイ容疑で逮捕拘束されていることを大々的に報道し、運動しています。ウィールストリートジャーナル紙、及び、アメリカ政府は当容疑を激しく否定していますが、大手会社の社員で、アメリカ政府が介入しても、ロシアは対応していません。先週(2023年5月半ば)もアメリカ政府は2回目の当該記者との面会をロシアに申し出ましたが、拒絶されました。アメリカ大手新聞、ウィールストリートジャーナル紙、ニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙でも大々的に、ジャーナリストととして世界情勢情報収集を行っていたにすぎない行為について、根拠ない逮捕、拘束に対し抗議を発信しています。この3社は、

“現在、より複雑になってきている世界において、事実と、信頼のおける情報を発信することがいかに重要であるか”

とも発信しています。このことは、まさに私が当レポートを発信している理由でもありますが、当レポートの本来の主旨に戻って、“海外において、もともと自国でも当該国でも違法であるはずの施術について無名の一外国人が違反し逮捕拘束されたとしたら、どうなるか”を考えてみましょう。

例えば、ウクライナとの戦争前まで代理出産が盛んに行われていたロシアは、2019年にフィリピンの国会議員による代理出産依頼を摘発し、2020年には代理出産によって子供を授かった中国人父親を、赤ちゃんとの出国時に逮捕、拘束しています。筆者は、約10年に亘り米国36都市に配布されている大手日本語新聞に医療文献コラムを掲載していますが、このロシアの代理出産の問題点についても、新聞紙面にて詳しく説明してきています。代理出産自体は、法的にロシアでは合法ではあるものの、ロシアのプーチン大統領は伝統的な男女の家族形成を信念として持っており、同性愛カップルによる家族形成を促進する代理出産、更に、ロシア人女性を利用して子供を出産させるにもかかわらず赤ちゃんはロシア人にならないという仕組みを嫌っており、取り締まりに余念がありません。ロシア当局は、代理出産を禁止しようとしており、ロシア国会にも法案が提出され審議されており、立法化は時間の問題です。プーチン大統領の代理出産の取り締まりは、ロシア国民にも波及しており、2021年秋には、代理出産によって子供を授かったロシア人の親らは逮捕される前に国外へ逃亡しました。このような背景を外国人は知らずに、代理出産依頼をしていたのです。

また、以前は赤ちゃん工場と言われていたインドでは、外国人依頼の代理出産を2013年に閉鎖しましたが、この閉鎖施行時に、代理出産依頼より出生した外国人の赤ちゃんは特別な出国査証(インド政府発行)がインド出国時には必要でしたが、この査証申請要項には日本政府が発行不可の書類が含まれていたため、査証申請が出来なかった日本人数名が当査証なしに赤ちゃんと出国しようとしたときに、インド警察当局に逮捕されています。他の外国人と共に、日本人が逮捕、拘束、留置されたケースに関して、日本では報道になっていません。これは日本の報道機関が感知していないためであると思われます。

また、カンボジア、タイでも当該政府は、外国人であっても、当該国の法律に違反している場合、同様に刑罰を課し、代理出産による子供は依頼者のもとには行かずに出国できないケース、子供を巡って裁判になっているケースが多く報道されています。(この報道については、後、報告予定)。これらのアジアの国は政権が変わることがしばしばあり、政権の代理出産への考えかたにより、状況が一変しますので、これらの国で、紙幣価値の違いを利用してのアジアでの廉価な代理出産依頼も避けるべきです。

つまり、外国人であるから、外国における違法行為を行っても、大丈夫ではないか、という考えは、危険です。日本人でも逮捕され、当国の裁判出頭も必要です。これは、知らないで依頼、実行した場合も、知っていて実行した場合も同様であり、海外で、生殖治療(特に卵子提供、つまり、卵子ドナー使用、男女産み分けを含む着床前診断)、生殖医療依頼(代理出産)を行う場合、当該国の法律を知って行うことは必須です。大々的にインターネットで広告、勧誘しているのだから、まさか、違法ではないであろう、という考えも、誤りです。

外国人でも、その国での法律は適用され、処罰されることを知っておく必要があります。

次回は、韓国で実際に問題があったケースに関してレスキュー(救出)を依頼され、その際に韓国にて行った取材をもとに韓国の卵子提供(卵子ドナー使用)状況を更に説明していきます。

(警告レポート5に続く)

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