速報:ウクライナの代理出産、戦場キエフから情報(3)2022年3月17日現在 コロナ禍時代と同じ運命に~親(依頼者)は迎えに行けず
ロシアが爆撃を開始したキエフで、代理出産から誕生した19人の赤ちゃんが、アパートの地下室で大切にケアされながら、依頼者である親を待っている、という報告がある*(1)。これは一例に過ぎない。キエフの郊外、Irpin(イルピン)が攻撃され、キエフ住宅街にも爆弾が突撃した現在、現在、500ケースとも800ケースとも言われている代理出産がウクライナでは進行している、という推測されているなか、このようにキエフのアパートの地下に作られている防空壕的な地下で、いくつの新しい命が育まれているかは不明である。
これは弊社がコロナ禍が勃発した2020年に報告した国境閉鎖事態による状況と同様で、代理出産の依頼者である親らは、戦争下、代理母から間近に出生する、もしくはロシアからの侵攻後に出生した赤ちゃんを迎えに行けないためである。その結果、出生を待ってくれない赤ちゃんらは、代理出産の調整を行っているエージェントに運命を任せることになる。エージェントが状況を判断し、依頼者と連絡を行い、赤ちゃんらのケアのアレンジをする必要がある。あるエージェントは、彼女が管理している代理母が赤ちゃんを出産したと同時に、赤ちゃんの親であるキエフ入りできないクライアントのために、その赤ちゃんを抱いてキエフを後にした。上述の19人の赤ちゃんのためにアパートの地下室を託児所と設定したエージェントは、更に戦争の状況が悪化する場合は、この地下室をたたみ、赤ちゃんと共に逃げる、という構想を立てている。
この防空壕的な地下室は、第2次世界大戦時の日本の防空壕を彷彿させる。米軍筆頭の連合軍からの空襲から避難するために多く作られ隠れたものだが、2022年2月24日にロシアがウクライナに軍事進攻を開始してから、国連によると昨日3月16日時点で300万人以上のウクライナ人がウクライナから逃げたと数えられている中、赤ちゃんらは、委任されたケア・マネジャーらによってキエフ地下に隠れ留まっているのだ。
平時では、代理出産の過程では、予定より早くに赤ちゃんが誕生したり、諸々の理由で代理出産依頼者である赤ちゃんの親がタイムリーに到着できない場合は、代理出産ケースを管理しているケースマネージャー(エージェント、コンサルタントを含む代理出産プログラム運営者)は、赤ちゃんの親からの依頼で、赤ちゃんの世話の調整を行う。健康であれば、一般新生児検査で問題がないことを確認した後、誕生数日で、赤ちゃんは産院から退院できるため、責任者が赤ちゃんを出産病院から引き取り、アパートを借り、24時間、赤ちゃんをケアする乳母をあてがう。看護師の資格を持っている乳母も多い。料金は廉価ではない。乳母が一人である場合もあれば、数人で時間担当制になる場合もある。粉ミルク、哺乳瓶、哺乳瓶の消毒用の機械、おむつ、赤ちゃんの靴下、手袋、帽子を含む着替えの洋服セットなども、不在の親の代わりにケースマネージャーが用意するが、現在のような戦下でサプライチェーン(供給の流れ)は滞っており、乳母らの食事も含め、在庫が心配される。
弊社スタッフであるロシア出身アメリカ人のジェンヤ・イリーナ情報アナリストによると、ロシアプーチン大統領は、ロシアにおいて、首都であるキエフ中心部は保存したい、と言及し、爆撃しないとしている。変更はあり得るが、反ロシアの非公式ウクライナギャング群による動きはあるものの、キエフ中心部は大きな打撃やロシア軍による襲撃は現在のところない。イリーナ情報アナリストは、昨日3月16日からキエフの小学校がオンライン(インターネット)授業を開始するとキエフ教育・科学部門長であるElena Fidanyan氏が発信したことを確認した。このことは、キエフが比較的安全であり、現在、インターネットの環境が有効であることを示す。キエフに留まっている赤ちゃんを世話している勇敢な乳母らが赤ちゃんと共に安全であることを願う。
第一弾の速報にも書いたように、多くのケースでは首都キエフで契約が行われるが、代理母らは全国から募集されている。各地に代理出産エージェンシーも点在する。キエフの今日現在の状況は最悪な状況からは逃れているものの、各地からの多くの代理母との連絡が取れておらず、混乱は続いている。
新しい情報が入り次第、報告を継続していく。
代理出産についてのご質問はこちらから
*(1) THE NEW YORK TIMES INTERNATIONAL
ジェンヤ・イリーナ情報アナリスト
ロシア出身アメリカ人
さくらライフセイブアソシエイツパートナー
清水直子
さくらライフセイブアソシエイツ代表
当文献、取材はジェンヤ・イリーナ情報アナリスト、さくらライフセイブアソシエツ代表清水直子によるものであり無断転載を禁ず。