世界中で商業代理出産の取り締まりが強化され、批判が表面化している中、合法ではあるものの高額である米国を避ける依頼者が、数少ない商業代理出産が合法であるジョージア、ウクライナ、そしてロシアに集中し始めたところでコロナ禍が勃発、代理母から誕生した赤ちゃんを依頼者が迎えに行けない状況を作り出した、と前回=3月6日号掲載=までお伝えしました。
代理母は赤ちゃんを出産するところまでが契約義務であり、契約上、赤ちゃんの親権は持ちません。つまり、出産後は、赤ちゃんに対する権利がないと同時に義務も一切ないことから、出産の仕事を終えたあとは、赤ちゃんとの関係は完全に終了となります。つまり、コロナ禍改善に対する未知の状況から、いつになったら迎えにくるかどうかも予期できない親を待つ、数えきれない代理出産により出生した赤ちゃんらが親権者や世話をする人間がいないままあふれる、という状況を作りました。ここで困ったのは代理出産依頼者と赤ちゃん、代理母の仲介として存在するエージェント、斡旋(あっせん)会社です。 代理出産業界の筆者の関係者であるエージェントは、ウクライナ、ロシアを筆頭に南アメリカであるコロンビアでも2桁以上の赤ちゃんが宙に浮いた形になった、毎日状況把握と調整に睡眠も取れない、と嘆いていました。メディアは、特に、ウクライナ、ロシアで、依頼者である親を待つ多数のベビーベッドが羅列されている画像を流し、代理出産がいかに多く行われているか、という事実を世界に知らしめ、衝撃を呼びました。これらは批判の世論、代理出産の禁ずることを狙った運動家の活性化、そして、特定の政府に取り締まりのきっかけとなりました。
そこで、代理出産に関わる大事件が報道されました。ロシアの代理出産に関わる事件で、ロシア政府が厳重な取り締まりに動きだしたきっかけとなったものです。
(次回は5月第1週号掲載)
当文献は創刊47周年を迎えるニューヨークの日本語新聞New York ビズ 2021年4月3日に掲載されました