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タイで何が起こったか(2) ()

タイ代理母の行方 タイ最大手代理出産クリニック閉鎖とその代理母165人はどこへ

タイで何が起こったか(1)をまずお読みください

8月8日、タイ最大手代理母クリニック、ALL IVFがJunta(現タイ軍隊政府)により強制閉鎖

8月8日(金曜)、軍政府の指令より公衆衛生省(The Ministry of Public Health )から差し押さえを受け、タイ代理出産サービス最大手であるDr. Pisit率いる生殖医療クリニックAll IVFは強制閉鎖(2014年8月8日Bangkok Post引用) された。8月に入り、商業代理出産が規制されているはずのタイで、明らかに商業代理出産が行なわれたことを示すニュース(豪夫婦によるダウン症のグラミーちゃんの遺棄と邦人コンドミニアムによる多数の赤ちゃんの発見)が勃発し、邦人のケースが当クリニックと関連していたためだ。Sivatel Bangkok ホテルの12階と15階に位置していたAll IVF からはすべての機器が押収された。

7月24日時点では何が起こっていたか

弊社ホームページの”タイで何が起こったか(1)“で伝えた通り、7月24日に12の大手タイ代理母クリニックにJunta(現タイ軍隊政府)による踏み込み捜査が行なわれた。最大手であるAll IVFにも手入れが入り、米国でも当クリニックに代理母を抱える多くの依頼者を含む関係者間に大きな衝撃が走った。

その直後、アメリカ時間7月25日朝7時25分の時点で(タイ時間7月25日で午後6時25分)手入れが入ったAll IVFは通常通り機能している、という現地からの報告が代理母業界に届いた。この日、依頼者たちはAll IVFのオーナードクターであるDr. Pisitと、今後の動向について、会議を持ったことも伝えられている。この時点ではDr. Pisitは、”現在進行中の妊娠している代理母契約のケースは継続し、治療も手続きも通常通り行なう”と依頼者たちに伝えている。そして、Dr. Pisitは”7月末に代理母に関する会議が開催されるので、その決定までは、新しい代理母ケースの契約は停止する”と話していたようだ。

7月31日:Junta(現タイ軍隊政府)による代理母に関する会議が開催され閉鎖決定

その後、7月31日に行なわれた医療責任者による会議では、総司令官Prayuth率いるJuntaは、アジアの商業代理母のメッカになっていたタイ代理出産市場を閉鎖すると決定した。(2014年8月9日のSydney Morning Herald 紙参照)

軍政府は、”血縁関係による代理母依頼は別として、今後はタイには代理母は存在しない”と発表した。この決定は、法律制定とは別であり、軍政府の方針の発表である。実質的な禁止令、と受け取ることができる。

この時点で、現地から”いかなる決定も、すべてのタイランドの生殖医療クリニックに適用されるものであり、クリニックによって影響なく今まで通り代理母依頼ができるとしている斡旋業者がいるとしたら、それは誤りでそのようなクリニック・斡旋業者は要注意である”という警告が発信されている。

軍政府によると、軍政府はAll IVFに、違反である商業代理出産などを中止するように警告したが、効果はなかったため、閉鎖に至った、と言う。コンピューター、道具と全て押収されオフィスは空になったことを、現在にバンコクに滞在し当クリニックを訪問した代理母国際法務ネットワークの欧州の弁護士がさくらライフセイブ代表に8月8日に国際電話で伝えた。

バンコクの混乱

プラユット陸軍総司令官(Prayuth Chan-ocha)は、彼が指揮するタイの地が、怪しい男女産み分けのメッカとなっており、何百人もの中国人が性別選択のために彼のタイ国を目指してやって来る、というレポートを手にし、この数年、彼の国が商業代理母と男女産み分けのメッカになっている証拠をもとに、この超保守的な総司令官は7月24日にバンコクの12の生殖医療クリニックの手入れを指令した。

  1. 7月24日の踏み込み捜査時に大手生殖医療専門クリニックは、商業代理母、金銭報酬が関わる卵子提供、男女産み分けの着床前診断を今後、行なわない(もしくは、行なっていない)と軍政府に約束したが、現在、商業代理出産契約により妊娠している代理母らが実際、子を出産したとき、子をいかに依頼者の手に渡し、出国させるか、について混乱が生じていること。
    代理母に関する法律が近いうちに制定されることになっているが、軍政府は”赤ちゃんを永遠(タイに戻らないという前提)にタイから出国させる場合はタイ外務省に許可を得ないといけない”という内容が入り、その申請書の内容はまだ明らかにされていない。7月31日に正式に軍政府商業代理母出産市場の閉鎖を決定したことを受け、それまでのケースに関しては容赦されるのか、軍政府には商業代理出産契約であることを隠匿する必要がある場合は、軍政府は出生時に代理母と子の関係を証明するためのDNA鑑定を含む証明を要求してくる可能性があるが、その結果、子は出国できるのか、という懸念が語られている。(注:タイの代理母は血縁関係のある無償である場合のみ容認されているため、血縁関係が証明されないといけない)
  2. 8月8日、金曜、軍政府の差し押さえを受け、閉鎖されたタイ代理出産サービス最大手であるDr. Pisit率いる生殖医療クリニックAll IVFの代理母が放置されていること。特に妊娠検査が陽性と出た直後の数週間、体外受精が使用されている場合は、プロジェステロンの投与により妊娠を支えるが、その薬の処方、薬の支給が不可となったこと、診察・検査が不可になったことから、妊娠の継続が危うくなる。このため、現地入りしている依頼者らは治療の継続の調整に奔走していると言う。エージェントを通しての契約の場合は、エージェントが奔走して、代理母たちのケアをしていると言うが、それまで住んでいた共同代理母ハウスには代理母はすでに住んでいない。現在では、大手の総合病院がその行き先になっている、ということだが、軍政府の監視によりこれらの総合病院が検査・治療が今後も可能かどうかの保証もないと言う。
  3. 現在、8日に閉鎖された最大手、All IVFにより11月までに出生予定だった代理母妊婦の赤ちゃんの数は165人と言われている。この内訳はイスラエルからの依頼者が65件、残りは大部分がオーストラリア。そして英国、他の世界各国。今後、軍の動きが注目されるが、軍政府は、商業代理出産に関わるものは、人身売買だとし、出国を認めないと言う可能性もある、と、関係者の憂いは絶えない。
  4. All IVFが閉鎖したことにより商業代理母契約を行なった代理母妊婦は、直接、依頼者に金銭を要求し始め混乱が起きている、という報告がある。

現タイ軍隊政府による法律制定とその動向を見守る依頼者たち

さくらライフセイブは、タイには代理母に関する法律自体はないが、タイ医療評議会(the Medical Council of Thailand: MCT)のガイドライン(1997公布、2002年改訂)では、商業代理出産(金銭の報酬が関わるもの)は禁じられており、血縁者のための代理出産のみが 認められているが、そのガイドラインがどの程度、拘束力を持つかが不明瞭であることは、タイでの代理母依頼のリスクであることを継続して伝えてきた。本件は今まで放置されてきて問題なく代理出産が行なわれてきていたことから、さくらライフセイブのアドバイスを受け入れず、タイへ依頼した日本人は多い。

今月中には、代理母に関する法律化が実施される見通しである。

<タイで何が起こったか(3):タイ代理母の行方へ続く>